著者:一田 和樹
出版社:集英社文
発売:2015年 第1刷
オススメ度
★★★★☆
【当ブログの評価基準】
★☆☆☆☆・・・ごめんなさい。断念しました。
★★☆☆☆・・・なんとか最後まで見終わりました。
★★★☆☆・・・普通に楽しめました。
★★★★☆・・・すごくイイ!本当に楽しめました。
★★★★★・・・めちゃくちゃオススメ。是非観て欲しい作品です。
著者を知らなかったのだけど、タイトルに惹かれて購入。
ハッカーという単語に惹かれる。僕にとってはそれだけで、ワクワクする。
昔読んで、詳細は覚えていないけど、『ウォー・ゲーム』や漫画で連載していた『ブラッディ・マンディ』どちらも面白かったし、映像化もされている。
テーマとしては、ミステリーに似ていると思う。
犯罪ものの物語描く場合、主人公の視点として、犯人側に立つのか。それとも捕まえる側になるのか。
『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』
この作品では、主人公はハッカーであり、犯人側の立ち位置で描かれている。
ハッカー集団『ラスク』
そのリーダーが天才ハッカー安部響子だ。
『ラスク』が標的にするのは、利用者に対して不誠実な対応をする企業で不利益を被った被害者への謝罪と賠償金のみ。
故に、サイバー世界の『義賊』や『ねずみ小僧』と称され、瞬く間にラスク信者が増えていき社会現象となっていく。
国家権力も『ラスク』が世間の注目が集まるにつれて黙って見過ごす訳にはいかなくなってくる。
『ラスク』を捕まえるための、サイバー犯罪専門のタスクフォース『CYWAT』が発足される。
『ラスク』のメンバー達は捕まってしまうのか?
それとも逃げるきることができるのか?
この物語は、何人もの視点が切り替わりながら描かれて、
追う側と追われる側それぞれの視点が切り替わるので、
主人公に感情移入している読者としてはドキドキ&ハラハラです。
どこまでが本当で、どこまでがフィクションなのかはわかりませんが、
国が本気をだしたら、個人情報なんてあってないようなものなんだと……。
怖いですね〜。犯罪なんてするもんじゃありません。
チキンな僕は読者の立ち位置からスリルを味わうぐらいが丁度良い。
主人公の安倍響子と高野肇の絡みが良い。
高野肇というのが、この本のタイトルである後半部分の五分間の相棒だ。
なぜ五分間の相棒なのかは、本書を読んでいただきたい。
そして、追われる側の視点はこの、高野肇目線で描かれている。
うん?ってことは、
主人公は高野肇?それとも安倍響子??
よくわからんが、
シャーロック・ホームズでいうところのワトソン役といったところだろう。
シャーロック・ホームズと違うのは、異性であるということ。
つまりは、ロマンス要素ありです。
プラトニックな関係で、なかなか進展しないのですが……。
そして、安倍響子がカワイイ。
高野肇の部屋で高野の元カノの話になり、
ベットに転がっていたテディベアのぬいぐるみを見つける。
普段あまり感情を表さない安倍響子が、
会話の合間に、
”安倍はテディベアに左手を伸ばしてつかんだ。片手で持ち上げて、じっと見つめる。”
”安部は、テディベアの腹を右拳で殴った。何度も繰り返し殴る。”
・
・・
・・・
ごめんなさい。
行動だけを抜き取ると、ただの危険で、暴力的に人に見えてしまいますね。
決してそういうキャラではありません。
前後の高野肇との会話のやり取りや、普段の安部響子の性格を見た上での
この行動を見ると、「すっごくイイっ!!」てなるのです。
僕的にはですが。
少し残念な点は、高野肇の洞察力の鋭さが後半には、ほぼ発揮されていなかったこと。
高野を『ラスク』にスカウトするきっかけになった能力で、
違和感を感じると「頭の中のスイッチが入る」と表現されている。
こういう、分かりやすい表現があると、
「おおっ!来た来た~」ってテンション上がりますよね。
頭のスイッチが入る→問題が解決。
みたいな流れが出来ると、
格闘漫画とかで言うところの
必殺技→敵を倒す。
みたいな感じ。
なのに、ほぼ広報担当といったポジションに収まってしまう。
そこだけがちょっと残念だったかな。
まぁ、たいしたことではないんだけどね。
著者の『一田 和樹』先生は、IT企業の常務取締役を勤めていた経歴をお持ちで
信憑性は高いようです。
今回の作品以外にも多数のサイバーミステリーを執筆されているようなので
機会があれば、他の作品も読んでみたいと思います。
でわでわ。
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